長井 和樹 ながい かずき 【熊本分院院長】

主な経歴

○学歴
2001年3月 熊本県立熊本高等学校卒業
2007年3月 山口大学農学部獣医学科卒業

○職歴
2007年4月~2012年3月 熊本市食肉衛生検査所勤務
2012年4月~2017年3月 熊本市動植物園勤務
2017年4月~2019年3月  熊本市農業支援課勤務
2019年4月~2024年3月  熊本市動物愛護センター勤務
2024年4月~ にじのはしスペイクリニック熊本分院開業

メッセージ

不幸な猫を減らし、人間と猫が共存できる社会を作りたい。このような想いから私は、猫の不妊去勢手術を専門とする動物病院、スペイクリニックを開院しました。

私は大学を卒業後、市役所に就職し、公務員獣医師として働き始めました。市役所では様々な部署を経験しましたが、特に心に残ったのは動物愛護センターでの勤務でした。

動物愛護センターには日々多くの動物が収容されます。特に春の繁殖シーズンには子猫の収容が急増します。昔であれば殺処分されていた子猫たちですが、現在では譲渡を進めるなど、殺処分を減らすための取り組みが行われています。これらの取り組みは職員をはじめ、ボランティア団体などの多大な努力によって成り立っていますが、このままのペースで収容が続くと、いずれ限界を迎えるのではないかという不安がありました。

また、動物愛護センターには毎日多くの市民から猫に関する苦情や相談が寄せられます。猫による生活被害、負傷した猫、子猫の出産、猫の遺棄など、多岐にわたる問題が報告されています。猫の糞害などによって地域住民の生活環境に影響を与え、また、交通事故や衰弱死など、猫自身も過酷な環境で生活を強いられているのです。全国で交通事故によって死亡する猫の数は、殺処分数の10倍にもなるという報告もあります。

これらの経験を通じて、猫の問題の深刻さを実感するとともに、この問題をどう解決すれば良いのかを考えるようになりました。そして、大きな原因は猫の過剰繁殖にあると考えました。猫は繁殖力が非常に高く、一度に多くの子猫を産むことができます。その結果、街中や住宅地で猫が急増し、様々な問題が発生しています。この現状を見て、私は猫の過剰繁殖を根本から解決する必要があると強く感じました。

根本的な解決策として、TNRが重要であると考えました。TNRによって猫の繁殖を抑制し、徐々にその数を減少させることで問題解決に向かいます。動物愛護センターでは、TNRのための不妊去勢手術を実施する事業を開始し、私もその一員として活動しました。

しかし、動物愛護センターの事業だけでは手が届かない地域や猫たちがいるのも事実です。そこで、もっと広くTNRを普及させるため、自分自身でスペイクリニックを開業しようと考えました。ちょうどその頃、にじのはしスペイクリニックの存在を知り、私の考えと一致することを感じ、その一員として活動させていただくことになりました。
にじのはしスペイクリニックでは、移動式手術室ニコワゴンを使った不妊去勢手術を行っています。手術を必要としている地域に直接出向くことで、通常の動物病院での手術が難しい地域にも不妊去勢手術を提供することが可能です。こうして、地域における猫の過剰繁殖問題を根本から解決することを目指しています。猫が幸せに、人が穏やかに暮らせる社会の実現を目指して、多くの方々と力を合わせて、この問題に立ち向かっていきたいと考えています。

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