なぜ手術が広がらないのか

手術が広がらない本当の理由は、住民の意識ではなく、 手術という選択肢が地域の仕組みとして存在していないことです。

問題は猫ではなく、地域の仕組みにある

猫の過剰繁殖問題について語られるとき、「もっと住民が責任を持つべき」「もっと保護活動を頑張るべき」という意見を耳にすることがあります。しかし、にじのはしスペイクリニックが全国で活動する中で見えてきたのは、問題の本質は猫でも住民でもなく、地域の仕組みにあるということです。猫が増える地域には、共通した特徴があります。それは、不妊去勢手術という選択肢が地域の中に存在していないことです。

手術を「しない」のではなく「知らない」

仔猫が増えてしまったとき住民が取る行動は概ね決まっています。
誰かに譲る。自治体や保護団体に相談する。保健所に持ち込む。
つまり、手術をしないのではなく、手術するということを知らない(=選択肢がない)のです。

なぜ選択肢として認識されないのか

不妊去勢手術が選択肢になるためには、いくつかの条件が揃う必要があります。

  • 地域猫の手術を扱う動物病院が近くにある
  • 手術費用が現実的な範囲に収まる
  • 地域猫の助成制度がある
  • 地域猫の活動団体がある
  • 地域猫の活動が自然なこととして共有されている

多くの地域では、これらのどれかが、あるいはすべてが欠けています。
動物病院が遠い、費用が高い、という問題だけなら個人の努力で解決できるかもしれません。しかし「地域の中で手術が自然ではない」という状態は、個人の意識や努力では変えられません。

殺処分は解決にならない

にじのはしスペイクリニック代表獣医師の髙橋は、かつて行政獣医師として保健所で勤務していました。
当時担当していた地域では、毎年繁殖シーズンになると仔猫の持ち込みが急増し、殺処分が繰り返し行われていました。しかし、どれだけ処分をしても状況は変わらず、翌年にはまた同じ問題が繰り返されたのです。
その理由はシンプルで、問題の発生源である繁殖が止まっていないからです。
問題が発生してから対処するだけの活動では、根本的な解決にはなりません。なぜなら、繁殖そのものが止まらないからです。

本当に必要なのは繁殖を止めること

地域猫問題の根本原因は、猫が存在することではありません。繁殖が続いていることです。
そして繁殖を止めるためには不妊去勢手術が必要です。しかし、その手術が地域の中で選択できる状態になければ、何も変わりません。「なぜ手術が広がらないのか」への答えはここにあります。手術が広がらないのではなく、手術を選べる地域の仕組みがないのです。では、その仕組みはどうすれば作れるのか。

クリニックやモバイルスペイクリニックを通じて、地域に手術という選択肢を届けています。詳しくは「手術を身近にする仕組み」でご紹介します。

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