手術を身近にするとはどういうことか
猫の過剰繁殖問題の本質は「不妊去勢手術が地域の選択肢になっていないこと」です。
では、選択肢にするためには何が必要か。「もっと啓発する」でも「もっと病院を増やす」でもありません。にじのはしスペイクリニックが出した答えは、手術を選べる地域環境をつくることです。
啓発だけでは変わらない理由
手術の重要性を知ってもらえば、人は動くという考え方があります。しかし私たちが各地で見てきた現実は違いました。
手術の必要性を理解している人でも、実際に手術を選べない理由があります。
- 近くに手術を受け入れてくれる病院がない
- 費用の見通しが立たない
- 連れて行く手段がない
- 地域で「手術する人」が自分だけという孤立感
知識があっても、環境が整っていなければ行動にはつながりません。意識を変えるより先に、環境を変える必要があるのです。
にじのはしが作っているもの
私たちは、不妊去勢手術の専門病院として活動し、全国に展開しています。しかし本当に作りたいものは、誰もが不妊去勢手術を選択できる地域です。そのために使う手段は、これまでの病院形態ではありません。
スペイクリニック
固定病院として地域に根ざした不妊去勢手術専門病院です。継続的に手術を提供しながら、地域の手術発進拠点として機能します。手術の選択肢を「常にある状態」にすることが役割です。
モバイルスペイクリニック
固定病院だけでは手術が届かない地域があります。移動式の手術施設であるモバイルスペイクリニックは、地域へ定期的に出向くことで、これまで手術が届かなかった地域にも選択肢を届けます。
モバイルスペイ
緊急性の高い案件や小規模地域にも柔軟に対応しながら、必要な場所へ手術を届けます。地域に手術という選択肢を根付かせるきっかけをつくり、住民・行政・支援者を巻き込みながら変化を生み出す、最前線の活動です。
地域連携・行政連携
手術の提供だけでは、地域は変わりません。住民・団体・行政と連携することで、手術という選択肢が地域の仕組みとして定着していきます。助成制度の創設、クラウドファンディングの実施など、行政が動き始めるきっかけを創ります。
「身近」にあることの意味
私たちが最も重視していることの一つが、物理的なアクセスのしやすさです。手術の選択肢が「遠くにある」状態では、それは実質的に「ない」に近い状態です。
移動が必要、費用が高い、予約が取れない。こうした障壁が一つでもあれば、多くの人は諦めます。「手術を身近にする」とは、これらの障壁を一つずつ取り除くことです。場所・費用・情報・文化、そのすべてにおいて、障壁のない地域をつくることを目指しています。
手術を増やすのではなく、手術を選べる地域をつくる
私たちの最終的な目標は、手術の件数を増やすことではありません。「猫が増える前に手術を選ぶ」という考え方が、地域の中で自然に共有される状態をつくること。
この仕組みが地域に根付いたとき、いったい何が起きるのでしょうか。→ [にじのはしモデル] へ
